失敗しない衣替えの洗濯術①ニットは自宅洗いでふんわり仕上げ

春の衣替えのシーズンで悩ましいのは、冬物のクリーニング問題。冬物をすべてクリーニングに出したら費用がかさむから、ニットだけでも自宅で上手に洗いたい。そこで今回は、型崩れせず風合いも保つ、ニットの洗濯術をご紹介します。

メインビジュアル:失敗しない衣替えの洗濯術①ニットは自宅洗いでふんわり仕上げ

失敗しない洗濯術①ニット洗いに適した洗剤を使う

日ごとに気温も高くなり、洋服も春ものの出番が増えてきました。衣替えを考える時期ですが、冬物のお手入れってどうしたらいいのか迷いますよね? 特にニットは自宅で洗濯して保管したいけれど、縮みや色落ちが心配という人も多いのではないでしょうか? そこで、今回は自宅で洗っても失敗しない洗濯術を日本洗濯協会・理事長の宮澤民晃さんに教えていただきました。

――家で洗濯できるもの、洗濯できないものを見分けるには?

宮澤:基本的には衣類についている洗濯表示で手洗マークがついているものは洗濯OK、手洗い✖になっているものはドライクリーニングでということになります。確かめてみると手洗いできるものは多く、カシミア100%のニットも自宅で手洗いすることができるんですよ。

洗濯表示で「手洗いマーク」がついていれば、自宅で洗えます。
洗濯表示で「手洗いマーク」がついていれば、自宅で洗えます。


――カシミアも洗えるのですね。でも、ニットを手洗いすると風合いが落ちてしまう気がするのですが。

宮澤:間違った洗い方をすれば、縮みや風合いを損ねてしまうこともありますが、本来、衣類は洗ったほうが長持ちするんですよ。洗濯によって縮みや伸びをもとに戻すこともできますし、ツヤもよみがえります。正しい洗い方をすれば、ニット本来の良さをいつまでもキープすることができますよ。

――ニットは「何回着たら洗った方がいい」など、洗濯の目安はありますか?

宮澤:2~3回着たら洗うようにしてください。素肌に直接着るものではないので、あまり洗わなくていいと思っている人も多いのですが、それは間違いです。汗や皮脂の汚れが染みついてしまうと黄ばみの原因にもなりますし、ほこりを吸って重くなったり、伸びることもあります。

――洗うときに注意すべき点は?

宮澤:おしゃれ着洗い用洗剤などニットに適した洗剤を使うことと、温度は40℃以下にすること。洗濯機でも洗えますが、最初は手洗いするのが安心です。

失敗しない洗濯術②ニットの洗い方 実践編

①下処理(汚れを落とす)

宮澤:まず、洗う前に汚れが目立つ部分やシミの部分にたっぷりと水を含ませ、洗剤の原液つけてブラシを使って一方向にこすって汚れを落とします。こすると伸びてしまいそうな素材は、上から軽くたたくようにしましょう。

水でぬらした後、シミの部分に洗剤を直接つけます。
水でぬらした後、シミの部分に洗剤を直接つけます。
洗濯ブラシなどを使って一方向に動かします。
洗濯ブラシなどを使って一方向に動かします。


②付け込み

宮澤:袖を表側にして折りたたみ、洗剤を溶かした洗濯液の中に静かに沈めます。洗剤は多く使うほど汚れが落ちるというものではないので、洗剤の説明書通りの量を使って下さい。多すぎると洗い残しがでて、変色などの原因にもなります。


付け込む際に、上から押したりひっくり返したりする必要はありません。やさしくなじませるだけで十分です。

\つまみ洗いは、NG!/
シミや汚れがある部分をつまんでこするのはやめましょう。色落ちしたり、伸びる原因になります。


 

③脱水⇒すすぎ⇒脱水

宮澤:泡切れをよくするために1分ほど軽く脱水します。


その後、畳んだままのニットを洗濯容器に入れてすすぎます。この時もそっとなじませるだけ。3分ほど置いたら、再び脱水します。

④干す

宮澤:干す際の最大のポイントは、肩口や袖口を持って軽く振りさばくように数回降ること。これによって余分な水分が落ちて乾きやすくなり、繊維の間に空気が含まれてふんわりと仕上がります。脱水時にできたしわも伸びるので形も整いやすくなりますよ。
 

肩口を持って軽く振りさばきます。
肩口を持って軽く振りさばきます。
肩と袖口を持ち軽く振りさばきます。
肩と袖口を持ち軽く振りさばきます。

\洗濯終了!/
空気を含みふっくらした仕上がりに。


\型崩れを防ぐポイント!/
型崩れを防ぐには専用のネットなどを使って「平干し」するのがおすすめです。ハンガーや竿干しする場合には、袖もかけて伸びないようにしましょう。干す際に手で軽くたたいたり、撫でながらしわをとるようにするときれいに仕上がります。

形を整えて、専用のネットなどで干す「平干し」。
形を整えて、専用のネットなどで干す「平干し」。
袖を折り返して伸びを防止します。
袖を折り返して伸びを防止します。

失敗しない洗濯術③洗濯時のひと手間で、伸びた袖口も復活!

宮澤:袖口などの伸び繊維の絡まりが原因です。繊維が絡みあって形が崩れていることで伸びてきているように感じるのです。洗濯によって絡まっている繊維をほどくことができます。

濡れている状態でぎゅっと握って形を整えてから干すと、引き締まってもとの形に戻ります。

(before)伸びてしまった袖口。
(before)伸びてしまった袖口。
(after)洗濯後に形が整いました。
(after)洗濯後に形が整いました。


手洗いで色落ちや縮みながないことが確認できたら、洗濯機の手洗いモードで洗ってもいいそうです。

ニットの洗濯のポイントは洋服を丁寧に扱うこと。押し付けたり、こすったりするのはNGです。洗濯した後のニットは皮脂汚れやほこりがすっきり落ちて、ツヤもよみがえりました。大切なニットはぜひ、手洗いしてみてくださいね。

次回は、色柄ものや白い衣類の「黄ばみ」を落とす洗濯術をご紹介します。    


●この方にお聞きしました
一般社団法人日本洗濯協会 
理事長 宮澤民晃さん

プロが実践する洗濯知識と技術を活かし、家庭で「イキイキした楽しい洗濯」ができるようランドリープランナー資格制度などを設立。定期的に講習会なども開催し、洗濯の基礎を教えています。
https://jwa-net.jp/


※記事の情報は2020年3月17日時点のものです。

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