オーツミルクなど「植物性ミルク」のダイエット効果とおすすめの飲み方

牛乳よりもヘルシーで、女性にうれしい栄養素が含まれる「植物性ミルク」。ダイエットや美容・健康目的で飲む人が増えている「アーモンドミルク」「オーツミルク」「ライスミルク」のメリット、デメリットについて管理栄養士の柴田真希さんに教えていただきました。

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この方にお聞きしました

柴田真希さん

管理栄養士・料理家。『株式会社エミッシュ』代表取締役。女子栄養大学短期大学部卒業後、給食管理、栄養カウンセリング、食品の企画・開発・営業などの業務に携わり、独立。27年間悩み続けた便秘を3日で治した「雑穀」や「米食の素晴らしさ」を広めるべく、雑穀のブランド「美穀小町」を立ち上げる。現在はお料理コーナーの番組出演をはじめ、出版・WEB媒体にレシピ・コラムを掲載する他、食品メーカーや飲食店のメニュー開発やプロデュースなどを手がける。「太らない体をつくる! スーパーミルク健康法」(小学館)など著書多数。

柴田真希さん

アーモンドミルク、オーツミルク、ライスミルクとは?

「植物性ミルク」とは、豆やナッツ、穀物など植物性の材料から作られるミルクのこと。牛乳に比べてヘルシーなのに栄養価が高いため、健康や美容効果が期待できます。また、牛乳アレルギーや乳製品でお腹の調子が悪くなる乳糖不耐症の方、乳製品を食べないヴィーガンなどの代替ミルクにもなります。

まずは、植物性ミルクの中でも、飲料品として手に入りやすいアーモンドミルク、オーツミルク、ライスミルクの特長についてご紹介します。

●アーモンドミルク
アーモンド特有の香ばしさがあり飲みやすい。3種の中でカロリーが低めで、ダイエット飲料としても人気。食物繊維や抗酸化作用のあるビタミンEを多く含みます。

●オーツミルク
わずかにとろりとした口当たりで、牛乳に近い味わいです。クセがなくどんな飲み物とでも合わせやすいのが特長。食物繊維を多く含みます。

●ライスミルク
市販品については、3種の中でカロリーが高め。カロリーを抑えたいなら、手作りするのがおすすめです。朝食や間食代わりに飲むことで、空腹感を抑えられます。ストレスケアに有効なGABAを含んだ製品もあります。

オーツミルク、アーモンドミルク、ライスミルクの特長

「植物性ミルク」が注目される理由

2020年にスターバックスからソイミルク以外の新たな植物性ミルクの選択肢として「アーモンドミルク」と「オーツミルク」の2種が加わり、牛乳よりヘルシーで栄養価の高い植物性ミルクの人気が急激に広まりました。

スターバックスでは、環境保護を考慮して2030年までに二酸化炭素排出量を50%削減することを目標に掲げ、2030年までに乳製品の提供をやめ、植物性のミルクやクリームを使った商品を提供すると発表しています。

こういったSDGsの観点に加え、新型コロナウイルスにおける健康意識の高まり、スターバックスをはじめとする大手コーヒーショップやスーパー・コンビニなどで手軽に飲めるようになったこと、 牛乳や豆アレルギーの人や乳糖不耐症の人でもオーツミルク、アーモンドミルク、ライスミルクなら飲めるということもあり、これらのミルクは健康志向やトレンドによる一過性のブームにとどまらない食品として注目されています。

「植物性ミルク」にダイエット効果があるって本当ですか?

--牛乳と比較して、植物性ミルクにはどんなメリットがあるのでしょうか?

柴田 牛乳と比べてエネルギー(カロリー)やコレステロール値が低いため、牛乳を植物性ミルクに置き換えるだけでカロリーオフできます。美容的な観点でいうと、牛乳に含まれていない食物繊維、ビタミン類などの美肌につながる成分を無駄なく摂れるのも魅力。アーモンドや穀物などはしっかりかみ砕いても消化しないまま便として排泄してしまうことがありますが、ミルクにすることで吸収しやすくなっているので、食べるよりも栄養をまるごと補給できます。

--植物性ミルクを飲むと満腹感が長続きする気がします。

柴田 オーツミルクやライスミルクは牛乳に比べて食物繊維が多く含まれていますので、満腹感が長続きします。間食にお菓子を食べる代わりのギルトフリードリンクとして植物性ミルクを飲むと、お腹を満たしつつ「カラダに良いことをしている」という気持ちにもなれます。

「植物性ミルク」のダイエット効果
「口寂しくて食べる」というクセを、植物性ミルクを飲んで改善!

「植物性ミルク」のデメリットは?

--植物性ミルクは太るという声もあります。

柴田 植物性ミルク製品には砂糖が添加されているものが多いため、ダイエットやカラダに良いものを摂る目的で飲むのなら、砂糖不使用や添加物の少ないタイプを選ぶのがおすすめです。


--選び方も大切だということですね。

柴田 今の食生活に植物ミルクを追加するだけだとダイエットにはつながりにくいため、日々の食事や飲み物を植物性ミルクに置き換えて効果を出す、という観点で飲むのが良いと思います。植物性ミルクはたんぱく質が少なめなので、食事でカルシウムやたんぱく質が不足しがちな人は牛乳を摂った方が良い時もあります。食生活や体調を見直し、健康になるために今何が必要なのかを考えながら、植物性ミルクを食生活に追加していただきたいですね。

今、必要なのはどのミルク? お悩み別「植物性ミルク」の効果的な摂り方

植物性ミルクはその種類によって成分が異なります。ダイエットや便秘解消、冷え対策におすすめの植物性ミルクを柴田さんに教えていただきました。

①料理に使ってカロリーオフ
●おすすめのミルク:アーモンドミルク、オーツミルク、ライスミルク

柴田 牛乳を植物性ミルクに替えるだけでカロリーオフができるので、料理に使うのがおすすめ。牛乳でつくるシチューを植物性ミルクに置き換えるなど手軽にチャレンジできますよ。

--冬場は温めてもいいですよね。

柴田 鍋に使うのもおすすめです。牛乳や豆乳は温めるとたんぱく質が凝固して膜になるのですが、アーモンドミルク鍋ならお鍋がグツグツしていても膜を張りません。アーモンドミルクでつくる担々麺もおいしいですよ。アーモンドにはごまみたいなコクがあるので、ねりごまなしでも坦々麺がつくれて便利です。

--料理全般に使えるのでしょうか?

柴田 基本的には問題ないのですが、ケーキのようにふわふわに仕上げるお菓子にはアーモンドミルクやライスミルクの添加物が向かないこともあります。また、多くのライスミルクは甘味が強く、スープなどの料理よりもお菓子や飲み物におすすめです。

デイリーで飲んだり料理用に便利な1リットルサイズ。
デイリーで飲んだり料理用に便利な1リットルサイズ。

②忙しい朝のエナジードリンクとして飲む
●おすすめのミルク:オーツミルク、ライスミルク

柴田 穀物由来のオーツミルクやライスミルクは炭水化物や食物繊維の値が高いのが特長。食欲がない時や時間のない朝はオーツミルクやライスミルクを飲んで、糖分補給を。脳を活性化し、エネルギーをチャージできます。

③肌荒れの天敵。便秘解消のために食物繊維を補給
●おすすめのミルク:アーモンドミルク、オーツミルク

柴田 便秘気味の人は、普段の食事で摂りにくい食物繊維をアーモンドミルクやオーツミルクで摂ることができます。

④ビタミンEの効果で血流をアップして冷えを解消
●おすすめのミルク:アーモンドミルク

柴田 アーモンドミルクはビタミンEの含有量が豊富で、飲むと血流アップ効果が期待できます。冬場の冷え対策におすすめです。

まずは、「おいしい」と思えるミルクを見つけることが大切

--毎日の食生活で不足している栄養素を植物性ミルクで補うというのが、理想的な飲み方なんですね。

柴田 健康や美容に良いとわかっていても「おいしい」と思わなければ飲み続けるのは難しいですよね。体調によっては、低カロリーなアーモンドミルク、オーツミルク、ライスミルクよりもたんぱく質を含む牛乳や豆乳の方が向いている場合もあります。カラダに良いものをおいしいと感じながら飲み続ければ、「プラセボ効果」で自分の理想に近づいていくと思いますので、まずは何らかのミルクを好きになって、それを飲み続けていただきたいですね。


※記事の情報は2021年12月20日時点のものです。


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