「ヘラヘラ」と「笑顔」の境界線は?<オフィスの心理学③>

働く女子の周りで日々起こるトラブルや悩みに、アラサー行動心理士・長谷川ミナさんが答える「オフィスの心理学」。連載の3回目は「職場での笑い方がわからない」と悩んでいる方からのご相談に応えます。

メインビジュアル:「ヘラヘラ」と「笑顔」の境界線は?<オフィスの心理学③>

「ヘラヘラするな」と先輩に怒られる…

Q.「仕事の指示を受けていた際、突然先輩から『ヘラヘラしないで』と注意されました。私はまじめに話をきいていたつもりだったのですが、先輩にはヘラヘラ笑っていると見えたみたいです。いったいどうしたらよいかわからず、職場での会話がぎこちなくなってしまい困っています」(Aさん・24歳・旅行会社勤務)
 
今回のAさんのようなケースの他にも、楽しんでいるはずなのに「つまらないの?」と言われてしまう、普通に接したつもりなのに「態度が冷たい」と思われることもあります。自分ではそんなつもりはないのに、誤解される。それが先輩や上司だと、仕事がしずらくなって困りますよね。
 
そこで今回は、「ヘラヘラしている」と思われてしまう原因と、今後の対応方法について紹介します。

「ヘラヘラしている」と思われた原因と対処法は?

「ヘラヘラ」というワードには、「だらしない」「曖昧な態度」「軽々しい様子」などの意味があります。Aさんの先輩にとってはAさんの反応が、このような態度や様子に見えてしまっていたということですね。
 
Aさんはまじめに先輩の話を聞いているつものでも、「ヘラヘラしている」と思われた原因は何だったのでしょう? その原因は「先輩」にある場合と「自分」にある場合があります。

●原因が先輩の場合:機嫌が悪く八つ当たり?  性格が合わない? 

人はそれぞれ受け取り方や感じ方が違います。そのことを心理学では「認知バイアス」と言いますが、それは受け取る側の性格や生き方、気分などによって左右されます。

私たちは、あらゆるものを見たり感じたりする時に「認知」を通して受け取りますが、この認知は、その人の性格やこれまでの生き方、その時の気分などが影響されます。

例えば、機嫌がいい時は気にならないようなことが、機嫌が悪い時には癇に障る。「ヘラヘラするな」と指摘された日は、先輩にとって良くないことがあり、八つ当たりでAさんにそのような態度をとったのかもしれません。もしくは、そもそも性格が合わないのかもしれません。

―対処法は「相手の態度に振り回されず、さらっと受け流す」

相手が必ずしも自分と同じ考え方、価値観だと思わないことが大切です。同じ価値観で向き合うと、このような“受け取り方の差”が発生してしまうので注意が必要です。何事においても、「自分と他人は認知が違う」ことを意識し、「相手も共感してくれるだろう」という期待を手放してみましょう。

この意識を持つことで、相手がどんな価値観や考え方を持っているのか理解しようとする洞察力が働くようになります。その結果、自分の発言と相手の発言を客観的に判断でき、トラブルにならない対応を取ることができるようになります。

ここで注意が必要なのは、必要以上に相手の状況に振り回されないこと。人によっては、その時の気分次第で当たり散らす自分勝手な人もいます。そのような人に対しては深く考えずに、さらっと受け流してしまいましょう。 
 
●原因が自分の場合:「嫌われたくない」が「ヘラヘラ笑い」に

先輩が指摘した通り、そもそも自身の態度に問題があるケースです。例えば、話の内容が深刻な時に誠実さや真剣みを欠くような笑い方をした、取引先に対して馴れ馴れしい口調になっていたなど、その時の自分の対応が周りの人に不信感や嫌悪感を与えている場合があります。
 
無意識のうちにヘラヘラ笑いになってしまっている場合もあります。

それは、相手に嫌われたくないと思う気持ちから曖昧な態度をとることで「つまらないと思っている」と勘違いされたり、責められないように当たり障りのない発言をして「ヤル気がない」と判断されたり、堅苦しい状況が極端に苦手で笑いでごまかしてしまうなど、その原因はさまざまです。

―対処法は「口角を上げてハキハキ話す」

注意された時の状況を客観的に振り返ってみましょう。先輩との打合せ中に注意されるような表情やしぐさをとっていませんでしたか?

心理学には人の印象を数値化した「メラビアンの法則」というものがあります。話す内容などの「言語情報」が7%、口調や声、話すスピードなどの「聴覚情報」が38%、服装や表情、しぐさなどの「視覚情報」が55%で、人の印象は“話し方”と“見た目”の影響が大きいことがわかっています。

 

メラビアンの法則


先輩はAさんの表情や話している時の態度が、あいまいだったり、だらしないと感じたのかもしれません。きちんと口角を上げた笑顔で対応する、丁寧な言葉遣いに変える、ハキハキと話すなど、話し方と見た目を意識して変えてみるだけで、先輩への印象も大きく変わるでしょう。

周りに信頼できる上司や同僚がいれば、対応の仕方をマネしてみるのもよいと思います。

それでも、繰り返し「ヘラヘラしている」と注意されるのであれば、直接先輩に「自分はこのようなクセがあり、ヘラヘラしているつもりはないんです」と悩み相談をしつつ、どの辺に不快感を抱いてしまうのか聞いてみるのも得策です。自分でも気づかなかった解決策があるかもしれません。

自分では「笑顔」のつもりでも相手には「ヘラヘラしている」と思われ続けたまま、人間関係をこじらせてしまうのはとても残念なこと。

今回ご紹介した対処法を参考にして、先輩とのコミュニケーションがスムーズになるとよいですね。


※記事の情報は2019年7月9日時点のものです。