【マスクの肌トラブル】ニキビ、かゆみ、乾燥…原因と対処法とは?

長らく続くマスク生活で肌トラブルに悩む女性が続出。ニキビやかゆみだけでなく将来的にはシミができる可能性もあるとか。マスク肌荒れの原因と対処法を皮膚科医に教えていただきます!

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この方にお聞きしました

水道橋ひふ科クリニック|神島 輪先生

東京女子医科大学卒。同大学病院皮膚科へ入局。2019年に水道橋ひふ科クリニックを開業。皮膚科・小児皮膚科・アレルギー科など「お肌と健康と美のかかりつけ医」として、地域の医療に貢献している。

水道橋ひふ科クリニック|神島 輪先生

マスクの肌のトラブル、原因は「蒸れ」「摩擦」「乾燥」

――マスクが原因の肌トラブルにはどんなものがあるのでしょうか?

ニキビやかゆみ、肌荒れなどの症状で来院される方が多いですね。特にニキビは「マスクをするようになって急にできるようになった」という声をよく聞きます。通常、ニキビはTゾーンなど皮脂の多い部分にできることが多いのですが、マスク生活によるニキビは、ほうれい線などの口周りやあごなどにできることが多いのが特徴です。

――マスクによる肌トラブルの原因は?

いくつか原因が重なっていると思いますが、大きくは「蒸れ」「摩擦」「乾燥」です。

① 蒸れ
マスク内の湿度や温度が高くなることで、汗や皮脂の分泌も活発に。温度が高いと肌の雑菌なども繁殖しやすくなりますので、アクネ菌が増えてニキビができやすい環境にもなります。

② 摩擦
マスクによる摩擦も肌荒れにつながります。肌に合わない素材やつけ外しによる刺激で、ニキビやかぶれ(接触性皮膚炎)になることもあります。かぶれは皮膚の表面に細かい傷がついている状態。ひどくなると化粧水がしみたり、ヒリヒリしたりすることもあります。肌の一番外側にある角質層には、外部刺激から肌を守るためのバリア機能が備わっています。しかし、摩擦によってこのバリア機能が低下してしまい、肌トラブルが起きやすくなります。

③ 乾燥
意外に思われるかもしれませんが、マスクを着けることで肌は乾燥しやすくなっています。呼吸によってマスク内の湿度が上がっているため乾燥を感じにくいのですが、マスクを外すと水分が蒸発して肌の水分も同時に奪われます。

また、1日の中でマスクのつけ外しを繰り返すと、温度や湿度など肌の環境が変わり、水分バランスが崩れやすくなります。乾燥は肌荒れだけでなく、シミやシワなどにもつながります。マスクをしている間は肌が乾燥しやすいということを意識しましょう。

皮膚イラスト
バリア機能が低下することで肌トラブルが起こりやすくなります

洗いすぎはNG! マスクの肌トラブルを予防するには?

――マスクによるトラブルを防ぐには、どんなことに気を付けたらいいのでしょうか?

汗をかいた時にはすぐにふき取る、マスクをこまめに取り換えるなど肌の清潔を保つようにしてください。摩擦を最小限にするために、ジャストサイズのマスクを着用することも大切です。

マスクをずらして飲み物を飲んだりすることも多いと思いますがこの「ずらす⇒戻す」を繰り返すことで肌への負担も大きくなります。可能であればその都度、外すほうがいいでしょう。

――肌荒れしにくい素材などはありますか?

肌質などによっても違いますが、不織布タイプはゴワゴワしているので摩擦による刺激が大きいと思います。かゆみや赤みが出ている場合にはガーゼやコットンのような肌当たりのやさしいものに変えてみるといいかもしれませんね。

いずれにしても清潔な状態にしておくことが大切なので、汚れが気になる場合には1日数回取り換えたほうが安心だと思います。

マスクの肌トラブル

――スキンケアで注意することはありますか?

肌荒れしている時は洗顔はやさしくソフトに。メイク落としの際もゴシゴシとこすったりしないようにしてください。オイルクレンジングを使っている人も多いかと思いますが、油で油を落とす方式なので皮脂を取りすぎてしまうことがあります。皮脂が足りないと、逆に補うために過剰に皮脂が分泌されてしまい、それがニキビの原因になることもあります。ジェルやミルクタイプのクレンジングを使い、やさしく洗い流してください。

洗顔後は化粧水や乳液などでしっかりとうるおいを与えてください。ニキビ肌の人やべたつきが苦手な人は化粧水だけで済ませがちですが、与えた水分を逃がさないためにも乳液やクリームの油分で膜を作るのが大切です。これは水分を閉じ込めるだけでなく、マスクの刺激から守る効果もあります。日中もスプレータイプの化粧水で保湿するなど、水分を与えるケアを心がけましょう。

ただし、化粧品がしみるような場合は、炎症を起こしている可能性もあるので自己判断せず、皮膚科を受診するようにしてください。

――マスク肌荒れしないために日常生活で心がけておくべきことは?

マスクを着けているから大丈夫と日焼け止めを塗らない人がいますが、これは絶対にNGです。9月10月の紫外線量は初夏と同じくらいあるので、必ずUVケアはしてください。紫外線によるダメージは肌荒れだけでなく、シミやシワにもつながります。

十分な睡眠、栄養など、内側からのケアで肌トラブルを起こしにくい健康な肌を保つことも、肌荒れの予防にもなります。たんぱく質やビタミンなどの栄養素をきちんと摂るようにしましょう。そして、鉄分も美肌づくりには欠かせない栄養素。女性は不足しがちなので食事やサプリメントで補うようにしてください。

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マスク肌荒れをそのままにしておくと、バリア機能の低下や摩擦によるダメージで肌の老化を早めてしまうこともあるそうです。日々のケアでマスク生活を上手に乗り切りましょう!

※記事の情報は2020年9月8日時点のものです。

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