やせる歩き方にアップデート。太る歩きグセを矯正しましょう

通勤時や普段の歩きで、下半身は引き締まる! それにはまず、太る歩きグセを知ることが大切です。通勤時間をダイエット時間にする歩き方のポイントを『やせウォーク 4週間プログラム』の著者で運動指導者の森拓郎さんに教えていただきました。

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この方にお聞きしました

森 拓郎さん

足元から顔までを美しくする「ボディワーカー」として、運動の枠だけにとらわれない様々な角度からボディメイクを提案する運動指導者。2014年「運動指導者が断言!ダイエットは運動1割、食事9割 ディスカヴァー・トゥエンティワン」が15万部のベストセラーとなり、トレーニング至上主義であるフィットネス業界に一石を投じ、ダイエットは食事改善こそが最も重要であると主張している。美脚などのボディラインを重視したキメ細かいボディメイク指導に定評があり、ファッションモデルや女優などの著名人からの信頼も厚い。近著に『ベタトレ 4週間プログラム』(扶桑社)、『脚やせ本 一日2分で細くなる』(講談社)がある。

森 拓郎

まずは、太る歩きグセをチェック!

ショーウインドーに写る自分の姿を見てみましょう。
こんな歩き方になっていませんか?

①前傾姿勢(猫背)になっている
②がにまた歩き
③歩くのが遅くて、大股になりがち

歩いていて、こんな症状が出ることはありますか?

④すねが痛くなる、ふくらはが張ってしまう

こんな人も要注意!

⑤足の指先が開きにくい。

①~⑤のうち、どれかひとつでも当てはまる人は要注意! 今の歩き方のままでは、歩けば歩くほど、脚が太くなり、お尻が垂れ、ぼっこりお腹に…。やせる目的でウォーキングをしても、逆効果になってしまうかもしれません。

まずは、太る歩きグセとその原因、太る歩きグセを矯正するためのストレッチ方法について、森さんに教えていただきました。

太る歩きグセ①前傾姿勢(猫背)で歩く
太る歩きグセ②がにまた歩き
太る歩きグセ③歩くのが遅いから、大股で歩く
太る歩きグセ④すねが痛くなる、ふくらはぎが張る

歩き方をアップデート!①通勤時間をダイエット時間にする歩き方
歩き方をアップデート②股関節ストレッチ
歩き方をアップデート!③前腿のストレッチ
歩き方をアップデート④脚やせにつながる、足裏・足指のストレッチ

太る歩きグセ①前傾姿勢(猫背)で歩く

▶脚が太くなる、ぽっこりお腹になる

 ヒールを履いていたりリュックを背負って歩くと猫背にやすくなります。猫背になるとからだの重心が下がり、下半身に力を入れた状態でふんばりながら歩くため「どすどす歩き」になりがちです。「どすどす歩き」を毎日続けていると、太腿やふくらはぎの筋肉がどんどん発達していきますから、脚全体が太くなってしまいます。

猫背で歩くと骨盤が後ろに倒れて下腹が前に出てしまうため、ぽっこりお腹の原因にもなります。重いリュックを前に抱えて歩くと反り腰になりますが、反り腰で歩くのも太る歩きグセのひとつ。猫背や反り腰で上半身のバランスが崩れたまま歩き続ければ、脚やお腹周りが太くなるだけでなく腰痛の原因にもなります。

下半身を引き締めたいなら、上半身の姿勢を良くして、重心を上げて歩くことがポイント。重心が引き上がれば、お腹も引きあがり、お尻の筋肉も使いやすくなって脚やせだけでなく、ヒップアップ効果にもつながります。

太る歩きグセ②がにまた歩き

▶脚が太くなる、お尻が垂れる。腰痛・膝痛の原因にも。

 がにまた歩きになる主な原因は、股関節の硬さとお尻の筋肉の弱さです。股関節のメインの仕事は、お尻の筋肉を動かすこと。股関節が硬いとお尻の筋肉がうまく動かず、スムーズな脚運びができません。お尻の筋肉が使えないと、脚に力が入らず踏ん張って歩かなければならないため、脚が外向きにねじれてがにまた歩きになってしまうのです。

股関節はお尻だけでなく、太腿の筋肉ともつながっているため、お尻の筋肉がうまく使えなくなると太腿に負担がかかって脚が太くなりますし、膝痛や腰痛になる可能性が高まります。お尻の筋力の低下は、お尻が垂れる原因にもなります。

がにまた歩きを直すためは、股関節をやわらかくして、お尻の力でまっすぐ歩けるようにすることが大切です。

太る歩きグセ③歩くのが遅いから、大股で歩く

▶太腿が太くなる

 歩くのが遅い主な原因は歩幅が狭いこと。歩くスピードが遅いからといって、大股で歩こうとする人がいますが、それはおおすめできません。大股で歩くと、上半身がねじれて姿勢が不安定になり、着地する時に太腿で体重を受け止めてしまいます。これだと、太腿に負担がかかって脚太りの原因になります。

歩くのが遅いと感じている人は、無理に歩幅を広げようとせずに、スタスタと脚の切り替えを速くするようにテンポを上げていくことを意識するとよいでしょう。腰から前に進んでいくイメージで歩くとスムーズに歩けるようになります。

太る歩きグセ④すねが痛くなる、ふくらはぎが張る

▶脚が太くなる

 「すねが痛くなる」「ふくらはぎが張る」などの原因は、足の運び方や着地に問題がある場合が多いです。巷のウォーキング情報で推奨されている「つまさきをピンと上げて、かかとから着地する」という歩き方も、太腿やふくらはぎが太くなる悪い歩きグセのひとつです。

通勤や散歩の時間をダイエット時間にするためには、上半身のバランスを安定させ、股関節とお尻の筋肉をしっかり使って歩くことが大切。かかとから着地する歩き方だと脚ばかりを使いすぎますし、上半身のバランスが悪くなって、踏ん張りながら歩く原因にもなります。

歩き方をアップデート!①通勤時間をダイエット時間にする歩き方

――太る歩きグセを矯正するために、まず始めたほうが良いことは?

 ①お腹をキュっと引き上げ、②脚よりも骨盤から先に動かすことを意識して歩く。この2点から始めてください。歩く時は、反り腰にならないよう注意しましょう。お腹を引き上げることを意識しながら歩くと、骨盤が正しい位置に戻り、体幹が鍛えられ、脚と腕の運びがスムーズになります。その結果、脚に無駄な力が入らず、脚やせにつながっていきます。

お腹をキュっと上げて、骨盤からからだ移動をするイメージで歩く。
お腹の位置をキュっと引き上げて、骨盤からからだを移動させるイメージで歩く。


――ボディメイクのために必要な1日の歩数は?

 健康なからだづくりのために厚生労働省が推奨する女性の1日の歩数目標は8,300歩*とされていますが、ボディメイクのためには最低でも1日7,000歩は歩いていただきたいですね。

「家のなかで歩く」場合と「外で歩く」場合でも、効果は大きく変わります。ある程度歩幅がないと効果が出ませんので、外で歩いた場合の歩数をカウントしましょう。
*厚生労働省「日常生活における歩数の目標値」より
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html


\階段の上り方をアップデートして、脚やせ!/
 階段を上がる時、前かがみになる人が多いのですが、前かがみになると前腿を使いすぎてしまう場合がありますし、見た目も美しくありません。階段を上がるときも、からだを起こして上体をまっすぐ引き上げることを意識しながらスタスタと階段を上ると、太腿への負担が少なくすみます。

歩き方をアップデート②股関節ストレッチ

太る歩きグセを矯正するのに欠かせないストレッチ

 股関節を柔軟にすることでお尻の筋肉を正しく使い、太腿に負荷がかからない歩き方ができるようになります。「前腿のストレッチ」とセットで行いましょう。

●毎日、左右各30秒~60秒

歩き方をアップデート②股関節ストレッチ

1.床に座り右ひざに左脚をかける
両ひざを軽く曲げて座り、両手をからだの後ろについたら、左足を右ひざの上あたりに引っかけるようにします。

2.左脚を抱え込み、股関節を伸ばす
左脚を抱えて股関節を伸ばし、左腿の前とお腹がくっつくように、ひざを引き寄せます。お尻や腿の奥が伸びているのを感じながら、息を止めずこの姿勢を30秒~60秒キープ。伸びが足りない場合は、左脚を引きつけ、脚全体をからだ側に引き寄せます。

\ポイント!/
・背中は丸めずに伸ばします。
・骨盤を起こすようにすると効果的。
・抱えているひざはできるだけ外側に向けましょう。

歩き方をアップデート!③前腿のストレッチ

夜寝る前に、前腿の張りをリセット!

 股関節が硬いとお尻の筋肉がうまく使えず、前腿に負担がかかります。前腿ばかりを使って歩いていると次第に、前腿が太ってしまう原因に。日中使った、前腿の筋肉をよく伸ばし、張りをとって前腿太りを防ぎます。

●毎日、左右各30秒~60秒

歩き方をアップデート!③前腿のストレッチ

1.床に横に寝そべり、右ひざを曲げる
床にからだの右側を下にしてまっすぐ寝そべり、右脚を前に出し、ひざを90度に曲げます。右腕はひじを曲げて頭の下に、左腕はからだ側に置きましょう。

2.左ひざを曲げ、つま先を持つ
前に出した脚とは反対の左ひざを後ろに曲げ、左手でつま先を持ったら、左足のかかとをお尻に近づけて、前腿をストレッチ。この時、息を止めないようにしましょう。この姿勢を30秒~60秒キープします。

\ポイント!/
・かかとをお尻に近づけるとき、腰が反らないようにします。
・腰を丸めて、下腹部に力が入るようにします。

歩き方をアップデート④脚やせにつながる、足裏・足指のストレッチ

ふくらはぎが張る、外反母趾、偏平足の人はぜひやってみて!

 脚やせのためには、足指がしっかり動くことも大切です。運動不足などで足指を使っていないと足裏の3つのアーチ(左下の図参照)が崩れ、足裏中央のくぼみがなくなってしまい偏平足になることも。それには、拇指球の下の内側のアーチと小指球の下の外側のアーチを鍛えてアーチの崩れをなおすことが重要です。

足裏のアーチと足指の骨

●小指の仕事
小指には着地した時にふらつきをなくし、体を安定させる役割があります。小指がしっかり機能しないとお尻に力が入らず外腿への負担が大きくなって腿が太り、足首ばかりを使って地面をひっかくような歩き方になるためふくらはぎが太る原因にもなります。

●親指の仕事
親指に必要なのは踏み込む力。親指でしっかり地面を踏み込めないと、内腿とお尻にエネルギーが伝わらず、足首を内側にひねったような動きになるため、外反母趾やタコの原因になります。

\親指と小指、足裏がガチガチにかたまっていませんか?/
 親指と小指はそれぞれ前後に動くのが理想ですが、うまく動かすことができない人は、これからご紹介する外側のアーチと内側のアーチの筋肉を鍛えるストレッチを行いましょう。親指と小指が前後に動かせるようになると、踏ん張る力と踏み込む力がついてバランスが良くなり、脚やせ効果も高まります。2つのストレッチをセットで行うのがおすすめです。

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足指のストレッチ①

 足指は足の中央からついていますので、指先だけではなく足指全体をつかんで、ガチガチにかたまってしまった外側のアーチ、内側のアーチ、アーチの中央のくぼみをしっかりほぐします。

●左右行う

脚やせにつながる、足裏・足指のストレッチ①

1.足裏の上部を両手でしっかりつかむ。
足指全体をしっかりつかむのがポイント。
2.小指の先を足裏の内側に倒して、親指の先を手前内側に引く。
3.親指の先を足裏の内側に倒して、小指の先を手前内側に引く。
4.この動作を繰り返す。

\ポイント/
・指先だけではなく、足指全体を動かすことを意識しましょう。


足指のストレッチ②
 踏ん張り力と踏み込む力をつけるために、親指と小指を外側に開きやすくするストレッチです。

脚やせにつながる、足裏・足指のストレッチ②


1.足の側面をギュッとつかんで、指全体を開きやすくする。
2.親指の先をつかんで外側に開きながら、くるくると10回まわす。
親指側の側面にある筋肉が動いているのを意識しながらおこないましょう。
3.小指も同じ方法で、10回まわす。
小指側の側面にある筋肉が動いているのを意識しながらおこないましょう。

\ポイント!/
・痛いのはNGです。痛くない程度の力加減で行いましょう。

太る歩きグセを矯正すると、脚やせ効果だけでなく疲れにくくなります

太る歩きグセを矯正すると、脚への負担が減るため疲れにくくなるというメリットもあるそうです。お腹をすっと引き上げて、姿勢よく歩く。よりスムーズな脚運びになるための簡単なストレッチをする。これだけで、通勤時間がダイエット時間になります。さっそく今日から、始めてみませんか?

※この記事の情報は2023年2月17日時点のものです。

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