毛髪診断士に聞いた、抜け毛・薄毛の原因と美しい髪を育てる頭皮ケア

年齢とともに増えてくる髪の悩み。「ハリやコシがない」「抜け毛や薄毛が気になる」という人は頭皮に問題がある可能性が…。毛髪診断士の齊藤あきさんに美しい髪を育てるための頭皮ケアをお聞きしました。

メインビジュアル:毛髪診断士に聞いた、抜け毛・薄毛の原因と美しい髪を育てる頭皮ケア

この方にお聞きしました

齊藤あきさん

パーソナルビューティープロデューサー・毛髪診断士。「ティナロッサ」オーナー。東洋医学やアロマセラピーなど豊富な知識を生かし、カラダの内側と外側から美肌・美髪を育てる「内外美養」を提唱している。

齋藤あきさん

抜け毛、薄毛、ボリュームダウン…髪のトラブルの原因は頭皮にあり?

――薄毛や抜け毛は何が原因なのでしょうか?

齊藤 主な原因は女性ホルモンの低下です。髪の毛は女性ホルモンの働きが関係しているので、加齢やストレスなどで自立神経が乱れると女性ホルモンの分泌が低下し、髪が育ちにくくなります。さらに、ストレスによって交感神経が優位になると髪を育てるもとになる頭皮の血流も悪くなり、薄毛や抜け毛が起こりやすくなります。

――ほかにも髪のトラブルの原因になることは?

齊藤 毛穴に汚れが詰まると髪が生えてくる部分が狭くなります。1本1本の髪が細くなるため量が減ったように感じることも。髪の毛は毎日100本程度抜け、その分新しいものが作られるサイクルを繰り返しています。しかし、毛穴に汚れが詰まっていたり、栄養のもとなる血液が頭皮に運ばれていないと新たな髪が作られにくくなり、薄毛や抜け毛、ボリュームダウンなどのトラブルにつながります。

髪の毛のもとになる頭皮の環境を整えることが、美しい髪を育てるためには何よりも大切なのです。

健康な頭皮を作る“ちとせうた”

――いい頭皮の状態とはどんなものなのでしょうか?

齊藤 健康な頭皮は5つの要素「ち・と・せ・う・た」がそろっている状態です。

ち…血の巡りがいい頭皮
と…透明感がある頭皮
せ…清潔な頭皮
う…うるおいのある頭皮
た…弾力がある頭皮
   
血流が良く健康な頭皮は青白く透明感があり、弾力があります。頭皮が硬い、べたついているのはよくない状態。毛穴に汚れが残っていると毛根の形が変形して髪が細くなる、うねるなどのトラブルも起きます。

――頭皮の状態が自分で分かるチェック方法などはありますか?

齊藤 抜けた髪をチェックしてみてください。短くて先が細くなっているのは本来の生え変わりの前に抜けている状態です。先細りになっている髪は美容院でカットしたものではなく、成長過程の短い毛です。髪を育てる土壌である「頭皮」の環境が整っていないために、成長途中で抜けてしまっているのです。
 

▼正常なヘアサイクルはこちら

毛周期は3~6年。3年未満で抜けてしまうのは頭皮の状態に問題があります。
毛周期は3~6年。3年未満で抜けてしまうのは頭皮の状態に問題があります。

美髪を育てる頭皮ケア①シャンプー

――頭皮を改善するためのケアを教えてください。

齊藤 まずは汚れを落とし清潔な状態にすること。毎日のシャンプーは重要です。朝シャン派も多いようですが、髪の毛は必ず夜に洗ってください。寝ている間に新陳代謝が行われるので汚れが残っていると栄養分なども行き届かず新しい髪が育ちにくくなります。

シャンプー後5~6時間で皮脂が分泌されますが、皮脂には外的刺激からガードする役割もあります。皮脂が分泌される前に外出すると直接紫外線があたり毛根にダメージを与えてしまいます。そうした意味でも朝シャンはおすすめできません。

――洗い方などで注意することはありますか?

齊藤 ブラッシングなどで汚れを浮かせてから、ぬるま湯で「予洗い」をしっかりとやりましょう。お湯だけでも6~7割の汚れが落ちますのでシャンプーの泡立ちもよくなります。頭頂部や生え際は洗い残しが多いので念入りに。

耳の上から頭頂部に向けて指の腹を使って「ジグザグ」に洗うのがおすすめです。すすぎは十分に行ってシャンプー剤が残らないようにしましょう。お風呂の中は血行が良くなっているのでシャンプーしながら、全体の頭皮をよくもみほぐすのもいいと思います。

指の腹を使って頭皮を傷つけないようにしっかりと洗います。
指の腹を使って頭皮を傷つけないようにしっかりと洗います。

美髪を育てる頭皮ケア②シャンプー剤選び

――シャンプー剤はどんなものを使ったらいいのでしょうか?

齊藤 頭皮の状態や季節によって使い分けるのがおすすめです。ノンシリコンや無添加なども話題ですが、シャンプーで大切なのは「洗浄力」。アミノ酸系は肌にはやさしいのですが洗浄力が弱いで、毛穴の汚れが十分取れないことがあります。刺激や乾燥が気になる人でも週に数回は洗浄力の強い成分がブレンドされているシャンプーを使ってください。

シャンプー剤


<シャンプーに含まれる成分と洗浄力>

【洗浄力が高くやや刺激があるタイプ】
〇高級アルコール系  
主な成分: ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na ラウレス硫酸アンモニウム

〇オレフィン系
主な成分:オレフィン(C14-16) スルホン酸Na

【洗浄力が弱く肌に優しいタイプ】
〇アミノ酸系
主な成分:ココイルグルタミン酸Na、ココイルメチルタウリンNa
ココイルグリシンK、ラウロイルグルタミン酸Na、ラウロイルメチルアラニンNa

〇ベタイン系統
主な成分:コカイドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリル
ヒドロキシスルタイン

ボトル裏の成分表示をチェック。配合量の多いものから順番に成分表示がされています。
ボトル裏の成分表示をチェック。配合量の多いものから順番に成分表示がされています。

美髪を育てる頭皮ケア③ツボ押しで血行促進

――頭皮の血行を良くするために自分できることはありますか?

齊藤 ヘッドマッサージなども効果的ですが、自分で行うのは大変なので、私がおすすめしているのは「ツボ押し」です。頭や首の付け根にはたくさんのツボがあるので頭皮の血流アップや自律神経を整えるのにも効果的です。

【頭皮ケアのツボ】
①百会…頭のてっぺん 左右の耳の延長線上
②天柱…うなじの生え際、外側のへこんだ部分 
③風地…天柱から指1本分外側 

【頭皮ケアのツボ】

【簡単ツボ押し】
手をグ―にして指の第二関節を各種のツボあてて刺激します。痛気持ちいい強さで行ってください。

美髪を育てる頭皮ケア④毎日のブラッシング

――頭皮ケアにいいとブラッシングも見直されているようですが。

齊藤 最近はブラッシングをしない人も多いようですが、ブラッシングは最も簡単にできる頭皮ケアです。手指だけでは頭皮全体を刺激するのは大変ですが、ブラシを使えば全体を刺激できます。ぜひ、毎日行ってほしいですね。朝のスタイリング前、夜のシャンプー前など習慣にすると、血行も良くなり、髪の毛にツヤもでてきます。

ブラッシング

――どんなブラシを使うのがよいのでしょうか?

齊藤 頭皮ケア専用のものもありますが、通常のブラッシングに使う「クッションブラシ」などで十分です。硬さや弾力など自分の使いやすいものを選んでください

【ブラッシングで頭皮ケア】
①こめかみの生え際から後頭部に向かってブラッシング
②襟足から頭頂部に向かって引き上げるようにブラッシング

美髪を育てる頭皮ケア⑤食生活

――頭皮に良い栄養素などはありますか?

齊藤 髪の毛も体の一部ですから健康であることがとても大切です。そのためにはバランスよい食事と栄養を吸収できるように腸内環境を整えることが必要です。納豆や味噌など発酵食品を摂り入れるのもよいでしょう。髪の主成分であるたんぱく質も欠かさず食べるようにしてください。また、「黒い」食べ物は髪の毛によいと言われています、ゴマやひじき、黒きくらげなどもおすすめです。
 

炒めのものやサラダに入れても美味しい黒きくらげは美髪食材です。
炒めのものやサラダに入れても美味しい黒きくらげは美髪食材です。

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頭皮ケアはすぐに結果が出るものではありませんが、毎日きちんと続けていけば必ず改善します。薄毛や抜け毛、白髪が減ったという人もいます。あきらめずに続けてくださいね。


※記事の情報は2020年12月8日時点のものです。

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