甘いものがやめられないときの対処法は? 改善に必要な栄養素やお助けコンビニフードを紹介!

どうしても甘いものがやめられないと悩んでいませんか? その理由は、栄養不足かもしれません。そのメカニズムや起こりやすい不調、改善に役立つコンビニ商品まで、予防医療・美容コンサルタントの細川モモさんにうかがいました。

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教えていただきました

細川モモさん

予防医療コンサルタント。一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)代表理事。10代で両親が末期がん患者になったことから予防医療に関心をもち、医療・健康・食の専門家によるプロフェッショナルチーム「Luvtelli(ラブテリ) Tokyo&NewYork」を日本とニューヨークで発足。大学、病院、企業と「卵巣年齢共同研究プロジェクト」「高崎妊婦栄養研究」などの共同研究や論文発表をするほか、「Luvtelli 基礎栄養学本」「Baby Book ⅠⅡ」、「タニタとつくる美人の習慣」(講談社)、「細川モモの美人食堂 – 食べて、きれいになる」(主婦の友社)、「「食事」を知っているだけで人生を大きく守れる」(ダイヤモンド社)「疲れと不調にサヨナラ! 体と心をラクにする 鉄分貯金」(KADOKAWA)など著書も多数執筆。

細川モモさん

甘いものがやめられないのはなぜ?

甘いものがやめられなくなるのには、いくつかの原因が考えられるそうです。予防医療の専門家である細川モモさんに、まずはその原因についてお聞きします。


甘いものがやめられない原因①|鉄不足などによる疲れ


細川 人は、疲れや重だるさを感じると、思うように動かない頭や体を動かすために血糖値を上げようとします。その時に体が糖を欲するため、甘いものが食べたくなります。

疲れの背景には、鉄不足による「鉄欠乏症貧血」があります。現在、日本女性の5人に1人は鉄欠乏と言われていて、20~40代の女性では7~8割が該当します。鉄が足りていないと、酸素が体に行きわたらなくなり、疲労回復がうまくできなくなります。その結果、「甘いものをたくさん食べないと動けない」という体になり、慢性的な甘いもの依存に陥りやすくなるのです。


甘いものがやめられない原因②|朝食欠食


細川 働く女性は、そうでない女性に比べて朝食欠食の割合がとても高く、1日の摂取カロリーが低い傾向にあります。朝食を食べないと、日中しっかり体を動かすために必要なエネルギーが絶対的に足りなくなります。

朝は食べず、昼はサンドイッチやコーヒーで簡単に済ませ、夜も残業などで満足に食べられない…なんて生活になっていないでしょうか? 頭や体をしっかり動かすために必要な1日の食事の摂取カロリーは1,800~2,000kcal程度ですが、実際のところ働く女性の摂取カロリーの平均値は1,500~1,600kcal*で、終戦直後の日本人、現代の小学校の高学年、70代のシニアよりも低い数値です。

体を動かすためのエネルギーが足りないと、人は血糖値を上げてエネルギーを補給しようとします。血糖値を上げるために体が糖を欲しがるため、手っ取り早さから甘いものに手を出してしまうのです。

*一般社団法人Luvtelliの独自調査による。
 

甘いものがやめられない原因③|「節約」や「ダイエット」志向


細川 女性は男性に比べると節約志向が強い傾向にあり、太りたくないという意識を持っている方も多くいます。そのため、食べ物を選ぶときについ少量になったり、ローカロリーやゼロカロリーに近いものを選んだりしがちです。

ガソリンが足りなければ、頭や体は満足に動きません。そのため、ちょこちょこと甘いものを摂ってエネルギーを補給する女性がとても多いのですが、甘いもので上げた血糖値は2~3時間後に下がります。一時的に血糖値を上げてパワーチャージをしても、すぐにエネルギーが切れてしまうため、慢性的に食べ続けてしまうのです。
 

甘いものがやめられない原因④|幸せホルモンによる依存性


細川 さらに、甘いものを食べると脳内からセロトニンという幸せホルモンが分泌されます。セロトニンは一時的に脳内を麻痺させ、幸せを感じさせる依存性も高いため、ますます甘いものをやめにくくなります。

甘いものがやめられないと、体はどうなる?

甘いものがやめられないと、体にはさまざまな不調が現れます。具体的にどのような症状が出るのか、細川さんに教えていただきました。


不調その①|低血糖に陥り、疲れやすくなる


細川 血糖値はゆるやかに上がればゆるやかに下がり、急激に上がると一気に下がるという特性があります。甘いものを食べると血糖値はジェットコースターのようにバーンと跳ね上がり、食後数時間で急降下するため、反応性低血糖という状態になります。低血糖になると気持ちが悪くなる、吐き気がする、頭が回らなくなる、眠くなるといった症状が出ます。

私たちの体は、血糖値が何度も乱高下することに慣れていませんから、その状況が長く続くと慢性的な疲労症候群*に陥ります。

血糖値の乱降下を繰り返していると、空腹時でも血糖値が高くなります。その背景には、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが正常に分泌されているのに血糖値が下がりにくくなる「インスリン抵抗性」という体質が疑われ、結果として体脂肪が高い状態が続くと、排卵障害になる確率が高まると言われています。

*身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態のこと。


不調その②|肌荒れや髪のトラブルが起きやすくなる


細川 体内でタンパク質と糖質がくっつくと、AGE(終末糖化産物)というコゲができます。AGEは加齢とともに増えますが、スイーツやジュースなど甘いもの単体で糖質を摂取した場合でもからだに溜まりやすくなるため、食生活次第で同年齢でも蓄積量に差が出ます。

AGEは肌や頭皮を健康に保つコラーゲンを壊してしまうため、肌のくすみやしわ、シミ、健康な髪が育ちにくくなる、毛が細くなるなどの老化の原因となり、美容面にも影響してきます。


不調その③|生理痛が悪化する可能性も


細川 生クリームを使った甘いものが好きな方も多いと思います。生クリームには飽和脂肪酸*がたくさん含まれていますが、私たちの研究で飽和脂肪酸の過剰摂取は生理痛に影響することが分かっており、食べ過ぎると翌月に生理痛が悪化することがあります。

*脂質を構成する脂肪酸の一種。乳製品、肉などの動物性脂肪やインスタントラーメン、焼き菓子、パンなどに使われてるパーム油などの植物油脂に多く含まれています。

甘いものがやめられないときに必要な栄養素は?

細川さんが代表を務める一般社団法人Luvtelli(ラブテリ)と三菱地所が共同で立ち上げた「まるのうち保健室」の調査*では、働く女性で甘いものをよく食べる人とそうでない人には、栄養状態に違いがあることがわかりました。

ここではその調査結果に基づき、「甘いものがやめられない」状態を改善するために必要な栄養素をご紹介します。


甘いものがやめられない!を改善する栄養素①|マグネシウム


前述の調査によると、甘いものをよく食べる人たちは、「カリウム」「マグネシウム」「葉酸」の3つの栄養が不足しがちな傾向にありました。

細川 特にマグネシウムは、疲労回復や健全なメンタルを維持するのに欠かせない栄養素です。筋肉の収縮にも関わり、足りなくなると、肩こり、腰痛、首こり、まぶたのけいれん、こむら返りなどが起きやすくなります。

「まるのうち保健室」の調査では、甘いものの摂取量が多いほど訴える不調の数が多いという結果も出ています。

1日に70g※1以上甘いものを摂取している人たちは、冷え性、頭痛、肩こり、不眠、肌荒れ、 風邪など、平均5つの不調を訴えていました。これらの悩みもマグネシウム不足に起因するため、不足を補うことで、上記の不調が改善しやすくなります。
 

甘いものがやめられない!を改善する栄養素②|タンパク質と亜鉛


細川 甘いものを食べて血糖値が上ったとしても、血糖値を下げるホルモン「インスリン」がすぐに分泌されて適正に糖が処理されれば問題ありません。

「インスリン」は食べ物の栄養素から作られます。インスリンを分泌するのに必要な栄養素はタンパク質と亜鉛ですが、この2つの栄養素も日本の女性には慢性的に足りていません。これらの栄養素を食事でしっかり摂ることで、体を正常に働かせるためのホルモンや免疫を十分に作り出すことができます。

生きるために必要な栄養素が慢性的に不足していると、年々体は脆弱になります。それに加えて、仕事の責務、介護、子育てなど、現代女性はストレスフルな状況が次々とやってきます。どうにか気力でがんばろうと思っていても、女性は毎月の生理によって鉄などの栄養素が失われてしまうため、気力だけで乗り切るのには限界があります。

*参考資料: 2015年度まるのうち保健室報告書―働く女性白書― Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2016 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.
※1 食事歴法質問票中の基準1回摂取量より

甘いものがやめられない!を改善するコンビニ商品は?

体質の改善に役立つコンビニ食品

甘いものがやめられない体質の改善に役立つコンビニ食品を、細川さんに教えていただきました。

食事系からおやつ、ドリンクまで、コンビニですぐに買えて、体に必要な栄養素を補える商品とは?

甘いものがやめられない人におすすめ! コンビニで買える【食事編】

「昨今は物価高もあり、栄養価よりも価格重視で商品を選ぶことが増えてきています」(細川さん)。

比較的安価なお弁当や麺類、インスタント食品をよく食べるという方も多いかもしれません。そこで、お弁当などに加えるだけで、不足しがちな栄養素を摂ることができる「トッピング食材」を細川さんに教えていただきました。


発酵食品・乾物類


細川 発酵や天日干しされた食品は、生の状態に比べて栄養価が10~30倍に増えますし、賞味期限が長いのもうれしいポイントです。包丁やまな板を使わずに、袋から出してさっとトッピングするだけで、不足しがちなマグネシウムやタンパク質、亜鉛を摂れます。

また、コンビニでの取り扱いはないかもしれませんが、スーパーなどで高野豆腐やきくらげを買っておき、インスタントスープなどにたっぷりトッピングして食べるのもおすすめです。高野豆腐は絹豆腐約3倍の栄養がありますし、きくらげはビタミンDや食物繊維が摂れます。

▼コンビニで買える発酵食品・乾物類の例
・納豆
・鰹節
・焼きのり

コンビニで買える発酵食品・乾物類の例



細川 卵はマグネシウム、亜鉛、タンパク質、ビタミンなどが豊富。ゆで卵、温泉卵など種類はどれでも結構です。

もしスーパーで買うならば、鶏卵よりも栄養価が高いうずらの卵がおすすめ。パウチタイプや缶詰なら、比較的価格が安定しています。

コンビニ1個売りの温玉
コンビニではトッピング用として1個売りの温玉も発売されていて便利

甘いものがやめられない人におすすめ!コンビニで買える【おやつ編】

コンビニには、足りない栄養素を補えて、糖質少なめ、おいしく食べられるおやつもたくさんあります。甘いものが食べたくなったときはそういったものをメインにしつつ、自分が好きなおやつは1日1回くらいに抑える、というのが理想的です。


カカオ70%以上のチョコレート

 カカオ70%以上のチョコレート
糖質が低く、血糖値が上りにくいのが特徴です


卵、牛乳、大豆を使用したもの

卵、牛乳、大豆を使用したもの
タンパク質が手軽に補給できます


自然由来のもの

甘栗
ほかに、ドライフルーツもおすすめ。ミネラルやポリフェノールが摂取できます


ヨーグルト類

ヨーグルト類
食事代わりにもなり、鉄分や葉酸などが摂れる製品もあります

甘いものがやめられない人におすすめ!コンビニで買える【ドリンク編】

細川 体の疲れだけでなく、脳が疲れても甘いものが欲しくなります。脳に活性酸素がたまると人は疲れを感じますが、脳のエネルギー補給には活性酸素を除去してくれる「ファイトケミカル」という成分を含んだ抗酸化食品を摂るのがおすすめ。ファイトケミカルは即効性があり、食後1~2時間で血管のコンディションを良くしてくれますが、食後3時間程度で尿から出てしまいます。そのため、仕事中や休憩中に飲むドリンクは脳のエネルギー補給を意識して、ファイトケミカルが摂れる食べ物を使ったものを選ぶと良いでしょう。

▼おすすめのドリンクの例
・豆乳
・アーモンドミルク
・ココア
・ルイボスティー

おすすめのドリンク

「甘いものがやめられない」を改善するといいことたくさん!

細川 甘いものの過剰摂取を解消できるようになると、冷え性、頭痛、肩こり、不眠、肌荒れなどの不調が改善し、ストレスの影響を受けにくい体になります。

そのためには、朝はヨーグルトやバナナ1本だけでも食べるなど、なるべく3食しっかり食べて十分なエネルギーを摂り、血糖値を安定させることが大切です。

コンビニの食品からも体に不足しがちな栄養素が補給できますので、そういったものを活用しながら、甘いものに頼らない状態を目指していきましょう。

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▼細川さんの著書

『疲れと不調にサヨナラ! 体と心をラクにする 鉄分貯金』
著者:細川モモ 監修:村野直子
出版社:KADOKAWA
1,540円(税込)

※この記事の情報は2023年10月20日時点のものです。

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