髪が喜ぶ栄養って? パサパサ髪や艶のない髪を内側から美しくする食事

“髪の毛”は年齢とともにハリや艶が減り白髪が増えると言われています。髪をすこやかに保つためには、外側からのケアだけでなく、内側から必要な栄養素を取り入れることも大切です。髪の構造から積極的に摂取したい食品について、管理栄養士の森由香子先生に解説していただきました。

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髪の美しさは、人の印象まで左右する?

昔からよく「髪は女の命」と言われます。

ヘアケア製品の広告に映し出されるモデルさんの風になびく美しい髪からは、“はつらつとした素敵な女性”という印象を与えらえます。髪はそれほど人のイメージを左右する大きな要素のひとつとなっているのかもしれませんね。

今回はそんな髪の毛をキレイに保つための、“食生活でのコツ”をお伝えします。健康的な髪を、体の内側からつくっていきましょう。

知っておきたい髪質のピーク年齢とその後の変化

髪のダメージイメージ

ところで、髪質にもピーク年齢があるのをご存じですか? 一般的には男性は20歳、女性は25歳がピークと言われていて、この頃がいちばん髪が太く、ハリやコシ、艶があるベストな髪質であるとされています。そして、髪質は加齢とともに変化があらわれていきます。

では一体どんな変化があるのか、多少個人差はありますが、一般的に考えられているものをご紹介します。

まず40歳を過ぎた頃から、髪のハリや艶が減りパサつきだし、しかも白髪が増えていきます。さらに50歳にはいると、髪が細くなりはじめ、コシも量も減り、髪の分け目が目立つようになります。

このような変化にあたり、私たちは無防備であってはいけません。今からでも遅くはありませんので、お肌と同様に日頃からベストな髪質をキープするためのエイジングケアをするのが重要です。

そもそも髪は皮膚の一部。皮膚は内臓の鏡とも言われるように、健康な体から健康な皮膚が生まれ、そして美しい髪がつくられます。

人の体は、自分が食べたものからできていますので、美しい髪を保つために食事が大切であることは、言うまでもありません。

美髪のためにはどんな食品を食べたらよいか。その話をする前に、髪の構造を少し詳しくみていきましょう。

髪の毛の基本構造を知ろう

髪の毛は3層構造になっていて、一番外側をキューティクル、その内側をコルテックス、中心部をメデュラと言います。

キューティクルは、艶をつくる働きをしています。髪の毛がパサついたり、枝毛ができるのはこのキューティクルが剥がれることで起こります。

コルテックスは髪の約90%を占めている部分で、ケラチンというたんぱく質や脂質、水分などからできており髪のしなやかさをつくります。そのため、脂質や水分が減るとしなやかさが失われ、切れ毛の原因をつくります。

また、髪の毛1本は毛幹と毛根からできています。毛幹は頭皮から上に出ている部分で、毛根は頭皮に隠れている部分です。毛根は、一番下に毛乳頭があり、毛細血管が運んできた栄養をここで受け取り、毛母細胞へ送り込んでいます。毛母細胞は髪の毛をつくる場所で、分裂を繰り返し少しずつ頭皮のほうへ押し上げられて、これにより髪の毛ができて伸びていきます。

髪の色は、メラニン色素の含有量によって決まります。メラニンは、アミノ酸のひとつ、チロシンから作られます。

余談ですが、米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部皮膚科・細胞生物学科の伊藤真由美氏らによる動物実験の研究から、白髪が加齢により増えるメカニズムは、メラニン色素をつくる部分が機能しなくなるためであることをつきとめました。人間にそのままあてはめるのは早急とのことですが、白髪を黒髪に戻したり、白髪の予防をしたりできるのではないかと期待されています。

髪に必要な栄養素はどんな食品に含まれる?

いろいろな食べ物

髪の毛の構造が分かったところで、ここからは本題となる“髪に関わる栄養素”を紹介しましょう。

髪の成分のほとんどは、たんぱく質です。ですので、食事からたんぱく質を補給しないといけません。そして、髪のたんぱく質合成に必要な亜鉛、代謝を助けるビタミンB6をはじめとするビタミンB群、栄養を運ぶ毛細血管の血行を促進するビタミンEも大事な働きをしています。

また、コルテックスの成分のひとつである脂質も欠かせません。必須脂肪酸のEPAは、毛細血管をながれる血液をサラサラにする重要な役割をもっています。ほかにも、紫外線などから生まれる活性酸素を除去する抗酸化ビタミンのビタミンC、さきほどのビタミンE、βカロテンも大切です。

活性酸素は、遺伝子のDNAを傷つけヘアーサイクルを乱すとされています。ヘアーサイクルとは、寿命により毛が抜けて、新しい毛ができる一連の流れのことです。ヘアーサイクルの乱れは、脱毛の原因をつくるなど健康な髪をつくる過程の足をひっぱります。そのため、ヘアーサイクルを乱なさいようにすることが髪の健康には必要です。ヘアーサイクルの乱れは、活性酸素のほかに、乱れた食生活、睡眠不足、ストレスなどでもおこります。

他にも、栄養素を吸収しやすい体をつくるために腸内環境を整えることも忘れてはいけません。そのためには、善玉菌を増やすオリゴ糖や食物繊維を摂ることも必要です。

ここまで挙げた栄養素と、その栄養素が多く含まれる食品を表にまとめましたので、ぜひ意識して摂取してみてくださいね。
 

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髪に必要な栄養素が摂れる食品

髪に必要な栄養素 栄養素が多く含まれる食品
たんぱく質 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品・牛乳
脂質(EPA)
ビタミンB群 肉や魚、卵、大豆製品、乳製品・牛乳、野菜、きのこ
ビタミンE 野菜(緑黄色野菜)、魚、種実類(ナッツ)
ビタミンC 野菜、果物、芋類
β―カロテン 野菜(緑黄色野菜)
食物繊維 野菜、海藻、きのこ、果物、芋類
オリゴ糖 野菜、果物

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食事は、1日3食(朝食・昼食・夕食)、そして主食、主菜、副菜をそろえることが基本です。そこに、上に挙げた食品を使った料理を当てはめれば、美髪づくりの一助となります。

日頃から健康的な食生活を心掛け、いつまでも美しい髪を保ちましょう。

※記事の情報は2023年6月16日時点のものです。

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